UCSD公共政策大学院の授業①Microeconomics for Policy/Management(ミクロ経済学)
UCSD公共政策大学院で1年秋学期に履修したミクロ経済学の必修講義「Microeconomics for Policy/Management」についてまとめました。
<講義名>
Microeconomics for Policy/Management(政策・経営のためのミクロ経済学)
<講師>
Gordon McCord 教授
<内容>
中級ミクロ経済学
- MPP、MIA共通の必修科目。
- 消費者理論、生産者理論、完全競争市場、独占市場、寡占市場、ゲーム理論、外部性、公共財、情報の非対称性といった、中級ミクロ経済学の範囲を扱う。
- 講義は理論と公式の説明、予習記事の一部の解説。講義はわかりやすく平易だが、日本の教科書に記載されているような数学的な論証はほぼない。
- Readingとして、単元に関連するThe Economist等の経済誌の記事が数本紹介される。予習が求められるが、Cold Call(教授からの発言指名)はなし。
- 教授と3人のTAがそれぞれOffice Hourを設けている。各TAはOffice Hour以外に、それぞれ週1回講義形式で演習問題を解説するTA Sessionを開催している。出席は任意。
<成績>
授業参加5%、Problem Set10%×4回、中間試験20%、期末試験35%
- 授業中の議論への参加、毎週末に投稿されるOnline Quizzesへの回答、Class Blogへの経済トピックの投稿数が出席点となる。
- 2週間に1回、Problem Setが課される。計算問題中心で、大問3〜4問程度。
- 中間試験は講義時間80分で、用語説明、予習課題に関連する論述、計算問題等。平均点は半分程度。持ち込み不可。
- 期末試験は3時間の論述式。前半が経済概念や予習課題に関する5文程度の論述、後半が計算問題。持ち込み不可。
- 最終成績はA(1.2-15.4%)。中間試験の点数は平均点をやや上回る程度だったが、期末試験の点数が良かったことが大きい。
<感想>
この講義の内容を通して公共政策を分析するというよりは、後続の科目で使用する経済学の理論を習得することに主眼が置かれていました。
日本の中級ミクロ経済学では公式の導出に時間を割いている印象でしたが、この講義では、数学的な厳密さを追求するのではなく、学生ができるだけ直感的に経済学の原理を理解できるよう、教授が説明に腐心していました。数学を苦手とする米国学生が多いことに配慮しているのかもしれません。実際に、新しい概念の説明の際に、概念そのものでなく、微分の方法について学生が質問し、講義が止まることがしばしばありました。
経済理論が現実社会や政策に応用されていることを過去数年の経済誌の記事を題材として分かりやすく解説するなど、熱心に準備された講義だったため、別の機会でも同教授の指導を受けたいと思いました。