ナッティーのブログ@米国公共政策大学院

米国公共政策大学院の留学の様子などを記録しています。

UCSD公共政策大学院の履修計画(1年冬学期時点、定量分析・格差と社会政策を中心に)

UCSD公共政策大学院(GPS)に入学して半年が経ちました。今更かもしれませんが、2年間の履修計画をまとめました。米国公共政策大学院の履修の一例として、参考になれば幸いです。

GPSのMPP課程の卒業要件は92単位(1科目4単位)で、うち32単位が必修、20単位が専門領域科目からの選択(領域間の重複あり)となります。また、専門領域の他にも特定の技術(定量分析、GIS、エネルギー政策分析など)を習得した学生にはCertificateが発行されます。

定量分析に習熟するために留学していることと、分野としては財政と社会保障に興味があることから、以下の方針で履修計画を立てました。

  • 専門領域は、方法論としてProgram Design and Evaluation(プログラム設計・評価)、政策分野としてInequality and Social Policy(格差と社会政策)の2領域を選択
  • Quantitative Certificateの取得を目指す
  • GIS Certificateの取得を目指す
  • 各科目に集中するため、卒業要件(92単位)を大きく超える履修はしない
  • 今年と昨年に開講された科目(=今後も開講される見込みの高い科目)を中心に計画
  • 他学部履修も16単位まで卒業要件に参入できるが、一旦公共政策大学院の科目のみで計画

その結果、計画は以下のとおりとなりました。開講状況や各科目の負担次第では変更する可能性があります。

1年秋学期(終了)

  • (必修)Microeconomics for Policy/Mgmtミクロ経済学
  • (必修)Policy Analysis & Public Welfare:政策分析
  • (必修)Quantitative Method I:統計学
  • Corporate Nonmarket Strategy:企業の非市場戦略

選択科目の候補だった費用便益分析は、2年生向けだったので、翌年に回しました。

カリフォルニア州の財政と政治は、税務の実務家教員が講師を務める授業です。履修者は10名程度なので、実務に即した、活発な議論が期待できます。しかし、前提知識があまりにもなさすぎること、課題の負担が重いこと、授業時間が火曜18時半から21時半と遅かったことから、撤退しました。2年秋学期に、他に面白そうな授業がなければ履修するかもしれません。

1年冬学期(イマココ)

  • (必修)Policy Making Processes:政治過程
  • (必修)Market Failure:公共経済学
  • (必修)Quantitative Method II:回帰分析
  • (PDE選択、Quantitative選択)Big Data Analytics:ビッグデータ分析
  • Accounting and Finance for Policy Makers:財務会計

教授に「1年目で学習する統計の知識が前提」と脅されたものの、統計ソフトRに慣れるため、背伸びしてビッグデータ分析を先取り履修しています。グループワークが評価の半分を占めますが、半分が米国人の2年生なので、彼らにリードしてもらっています。

また、時間があるうちに学んでおきたかった財務会計を履修しています。

1年春学期

  • (必修)Public Finance and Taxation:財政学
  • (必修)Policy Analysis / Decision Theory:費用分析
  • (PDE必修、Quantitative必修)Quantitative Method Ⅲ. -Applied Data Analysis and Statistical Decision Making-:応用データ分析
  • (PDE選択必修、ISP選択)Evaluating Social Program:政策評価

この学期はほぼ必修と選択必修のみです。財政学と費用分析は仕事でも使うので深く学ぶつもりです。

2年秋学期

  • (PDE選択必修、GISGIS & Spatial Analysis:GISと空間分析
  • (PDE選択必修)Cost-Benefit Analysis:費用便益分析
  • ISP必修)The Politics of Economic Inequality:経済格差の政治
  • ISP選択必修)Education Policy Around the World:世界の教育政策
  • ISP選択)Public Finance / Local Politics:カリフォルニア州の財政と政治

2年目になると必修科目がなくなり、履修の自由度が高くなります。しかし、各専門領域の必修科目(格差のほか、環境政策や健康政策)が秋学期に集中しているため、専門領域を2つ選択しようとすると、負担が大きそうです。経済格差の授業は、必修と時間が重なっていたため1年目には履修できなかった一方で、環境政策と健康政策の授業を1年の時に履修しておけば良かったと後悔しています。

2年冬学期

  • (必修、Quantitative必修)Public Policy Capstone— Quantitative Focus:卒業研究(定量分析)
  • (PDE選択、GIS必修)Advanced GIS and Remote Sensing:GISリモートセンシング
  • ISP選択)Governance, Public Administration, and Development:統治と行政と発展

修士論文に代わる卒業研究に集中するため、最小限の履修にしています(学生ビザの滞在要件として、学期毎に最低12単位の履修が必要)。

2年春学期

  • (PDE選択、GIS必修)Data Science Approaches to Spatial Analysis:空間分析
  • (PDE選択)Management of Nonprofit Organizations:NPO経営
  • (PDE選択)Spatial Analysis for Sustainable Development:持続可能な開発のための空間分析

ここまで来ると、いよいよ履修したい科目が少なくなってきます。興味がある科目が追加で開講されたら、NPO経営と入れ替えようと思います。

以上で96単位なので、4単位オーバーしていますが、そこまで無理のある履修ではないかな、と思います。というのも、米国の大学の授業は予習と課題の量が多く、多くの学生が1学期4科目、PhDのコースワークでは1学期3科目の履修が標準的だからです。公共政策大学院は、学問としてそこまで高度な内容に踏み込まないため、課題が重い科目がなければ科目数を増やせますが、それでも5科目を履修している今学期はあまり休む間がありません。

※興味はあるが履修する余裕がなさそうな科目

  • International Economics:国際経済(春学期)
  • International Health Economics:国際健康政策(秋学期)
  • Introduction to Health Policy:健康政策入門(秋学期)
  • Environmental and Regulatory Economics:環境と規制の経済学(秋学期)
  • Government and Regulation:政府と規制(冬学期、国際経済の履修が必要)
  • The Politics of Energy and Environmental Regulation:エネルギーと環境規制の政治(冬学期)
  • Fiscal and Monetary Policy:財政金融政策(冬学期)

※興味はあるが近年開講されていない科目

  • ISP)Policy Making in the American States:州レベルの政策立案
  • ISP)Comparative Social Welfare Policy:比較社会福祉政策
  • Urban Economic Policy:都市経済政策

追加で国際経済、政府と規制、財政金融政策を履修すればAmerican and Comparative Regulationの専門領域もカバーできます。

また、国際健康政策、環境と規制の経済学、健康政策入門を履修すれば、Health Policyの専門領域をカバーできます。

さらに、環境と規制の経済学、エネルギーと環境規制の政治と、もう一つ環境系の授業を履修すれば、Environmental Policyの専門領域をカバーできます。

大学の授業カタログに掲載されていても、実際には過去数年開講されていない授業も珍しくないので、進学先を検討する際には自分の興味がある授業が実際に開講されているか、在校生や卒業生、大学によく確認しておくと、期待と現実のギャップを埋められるのではないでしょうか。

方針が変わったり、面白そうな科目が開講されたら、計画を更新するつもりです。