ナッティーのブログ@米国公共政策大学院

米国公共政策大学院の留学の様子などを記録しています。

UCSD公共政策大学院の授業②Policy Analysis and Public Welfare(政策分析と公共の福祉)

UCSD公共政策大学院で1年秋学期に履修した政策分析の必修講義「Policy Analysis and Public Welfare」についてまとめました。

<講義名>

Policy Analysis and Public Welfare(政策分析と公共の福祉)

<講師>

Zoltan Hajnal 教授

  • イェール大卒、シカゴ大政治学博士。
  • 研究領域は人種・民族政治、都市政治、移民と政治行動。

<内容>

公共政策分析

  • MPPの必修授業。
  • 政治学(合理的行為者モデル、集団行動、投票行動)、経済学(市場理論、市場の失敗)、行政学(政策立案過程)の理論を用いて、実際の米国の公共政策を分析する。
  • 講義はロールプレイや事例を用いた理論の解説、予習記事の一部の解説。
  • Readingとして、単元に関連する教科書や学術記事が毎回数十ページ課される。
  • 講義での発言とCold Callへの回答が出席点となるので、予習が必要。

<成績>

授業参加15%、ポリシーメモ15%×2、中間試験30%、プレゼンテーション25%

  • 出席点は授業中の議論への参加。希望者はCold Callの名簿に登録され、より発展的な質問に回答する。授業中に発言もCold Callへの回答もできなかったため、出席点はほぼ0と思われる。
  • 課題はPolicy Memo2本。それぞれ初稿を提出した後、TAからフィードバックを受け、初稿の提出期限の2週間後に最終稿を提出する。
  • Policy Memo1本目の題材は「Collective Actionを解決する、パリ協定の温室効果ガス削減量を増やす政策を立案せよ」。初稿は講義の議論を元に独自の解決策を提案しB+、最終稿はNordhausの気候クラブ理論を一部改変してA-。
  • Policy Memo2本目の題材は「腎臓ドナーに政府が対価を支払うことの是非を、適切な評価指標を設定した上で議論せよ」。初稿はA-、最終稿はTAのストライキのためフィードバックなし。
  • 中間試験は講義時間80分で、授業で解説した概念、モデル、事例の論述。大問7問×小問1~4問と分量が多い。TAのストライキ期間と重なったためか、採点結果は結局公表されなかった。
  • プレゼンテーションは、1チーム2〜3人で、持ち時間6分のプレゼンテーションを実施。10程度のテーマから希望するものを選択し、ランダムに賛成派と反対派のチームに割り振られる。チーム結成1週間後の模擬プレゼンと、その翌週の本番プレゼンの2回が評価対象。筆者はユニバーサルベーシックインカム導入反対派として、米国人学生2名と一緒にプレゼン。最終評価は不明。
  • 最終成績はB+(37.4-58.3%)。A+はなし、Aが全学生の9.0%, A-が全学生の28.4%だったので、せめてA-は取りたかったが、出席点が確保できなかったことがB+に留まった主な原因と思われる。

<感想>

ミクロ経済学と同様に、この科目もGPSの発展的な科目に向けた基礎科目という位置付けです。前年度から教員が交代したようですが、Policy Memoの作成とプレゼンテーションを通して政策分析を実施し、アウトプットの向上を図るという方針は引き継がれていました。学習した理論やモデルは平易なものでしたが、実際の分析で活用できるところまでは至らず、評価も低かったので、今後の学習で実践できるレベルまで向上させたいところです。